演劇のこと

人が集まることの意味

ベルギーでの外出禁止令が段階的解除が徐々に行われている。 快晴が続くので、街中を歩いていると友人たちとすれ違うことが多くなった。 示し合わせて、同じタイミングで友達が働いているお店に買い物に行ってあったりすることもする。 そうして話していると…

ある俳優からベルギー文化大臣への書簡

現在世界中に蔓延し各国に莫大な被害をもたらすウイルスCovid-19の対策として、ベルギーワロン地方文化大臣Bénédict Linard(ベネディクト・リナー)氏は、文化事業団体へ840万ユーロ(約9億8千万円)の資金援助を行うことを発表した。 これに加えて、各団体は…

This is our culture ! これが私たちのカルチャー!

今週は、ベルギー舞台芸術界が嫌な騒がしさに包まれている。 ※Sofie.Dさんからご指摘いただいた後、ところどころ修正して再度記事を投稿しています。 Sofie.DさんのTwitterでの以下の投稿がみるみるうちに、日本の芸術界の人たちの間にも広まっていった。 フ…

スミレはスミレのように咲く。

数学者の岡潔に一時期はまっていた時期がある。 森田真生氏の「数学する身体」にも思いっきりはまっていた時期。 彼の本は、こちらに持ってきている数少ない日本の本のひとつ。本は重いから、あまり持ってこないようにしている。今はkindleなんて素晴らしい…

早稲田どらま館ワークショップのご報告。

8月27日に早稲田大学のどらま館でのワークショップを開催し、無事に終了しました。 合計7名の方が集まってくださり、急な募集だったにもかかわらず、なんて有難いこと…。 制作をしてくださった射延憲児さんは、早稲田でお芝居をしていたときからの知り合いで…

朝から晩まで映画史漬けの新年。

私の通うINSASには、所属する演劇科の他にも映画科が存在する。校舎がちがうので、なかなか彼らとは交流がないが、新学期は初の2コース合同授業で映画史の授業から始まった。 映画史といっても、「昔からやってもキリがないので、現代からやります」。 と、…

ああ、やはりアカデミー賞に学ぶ!

何か書かなければ、と思い、パソコンを開いてみたが、何を書けばいいか分からない。 ただただ、今は、お芝居がしたいのだ。 今年のアカデミー賞で、日本人として初のメイク・ヘアスタイル賞を受賞した辻一弘さんが言っていた。 「夢があったら、絶対に他人の…

雪かきをコツコツするということ。

記録的な豪雪だったそうだ。 昨日、日本に帰ってきて、まだしばらくボーっとする時間のある私は、夜に父親と弟が返ってくるまでに家の前を三回ほど雪かきをした。 何度やっても暫くすれば雪は積もるのだが、3回目にもなると、他の雪かきをしていない部分との…

思い出しました。

夏に見た、俳優の、演劇をする人間としての道は、果てしなく長かったことを忘れていた。 忘れていた。 長すぎて、怖くてみないようにしていた。 そんなことを気付かないほどに、見ていなかった。 だってあまりにも長かったのだ。 そして、それがこれからもさ…

この一週間と、これからのこと。

ひょんなことから、日本に帰国して活動することになったため、日本に帰る前にヨーロッパの舞台芸術を観る旅をしてこようと思いたち、ドイツに一週間旅行してきた。 観てきた作品は ピナ・バウシュ「1980」 ピーター・ブルック「バトル・フィールド」 ベルリ…

演劇を、ふたたび。

たぶん初めてくらいで自分のフランス語で演劇をする姿をみた。 入学してからの2年間の学校でやった公演の動画をもらったのだが、本当に、初めて自分がどういう風にお芝居をしているのかを目の当たりにした。 自分が演技しているのを見ることほどの拷問はない…

チャイコフスキー 弦楽セレナーデハ長調48番

現在、ナント市では、ナント・日本の交流プログラムがかなり大きな規模で催されている。 私も通訳としていくつかのプログラムに少し参加するのだが、何せ通訳など初めてで、与えられた仕事をきちんとこなせるのか(出来ないに決まっている。こんなこと言って…

再演を経て、核心を見る。

生まれて初めての遠征公演というものをしてきた。 6月にあった卒業試験DET(DETに関する記事はコチラ→ ジュリエット。 - 踏み台における足踏みの軌跡。) を再演するという機会を、リヨンの郊外にあるVilleurbanneという街にある劇場が、幸運にも与え…

パンと演劇を通して小世界をみた。

近所にフランス人顔負けなパン屋さんがある。 去年の夏に帰った時にフランス国旗を掲げたその小さな店舗をみかけたのだけど、なんとなく寄れずにいた。 今年になって母がそこのパンを買ってきて、食べてみると、それはもうびっくり。 フランスにだって、こん…

あいだにいること。

日本で過ごしていると、フランスでフランス語を話して生活していた自分が嘘のように思える。 遠いあの国は、今やほぼ存在していないに等しい。なんて薄情。 フランスを一歩出れば、もうフランス的要素はわたしから抜けてしまう。すごい残念でもある。 じゃあ…

ジュリエットを終えた先に。

一昨日の公演、昨日の面接を終えてDET(Diplôme d'Études Théâtrales)を無事に取得することができました。 私の学年7人全員。 嬉しかった。 自分のことに関して言えば、ディプロムなんかあったってなかったってどうでもいいし、(来週受けるコンクールのため…

ジュリエット。

23日の金曜日に在籍している学科の卒業認定試験として、30分の企画公演を行います。 一年間かけてこつこつと準備を進めてきたプロジェクト。 学校では戯曲の中のシーンを用いて稽古などしているけれども、ひとつの役を最初から最後まで通して演じるというこ…

あまりに大きな出会い。

コンゴ出身の劇作家、演出家、俳優のディウドネ・ニアングナ(Dieudonnée Niangouna)とのスタージュ、そして私のコンセルバトワールでの最後のスタージュを5月中旬に終えました。 ディウドネとの出会いは、衝撃的で、どう言葉にすればいいのか分からない。 …

いまの私の「離見の見」

長らく更新していませんでした。 来年フランスに残るために就活しなきゃと、いろいろな人とコンタクトを取り合って、進んだり進まなかったり。 色々考えたくなかったのか、やることが多すぎたのか、とにかく受験生のときのようにがちがちにスケジュールを詰…

演劇をするってどういうこと?

Nathalie Béasseとの数か月に及ぶスタージュの締めくくりとして、ナントにあるThéâtre Universitaireというナント大学にある公共劇場での公演が22日23日にありました。 大学構内の劇場だけど、かなりしっかりしていて、舞台も広い。 久しぶりに学校外での公…

クリエーション真っ只中!

来週の水曜と木曜に、ナントにある公立劇場で、コンセルヴァトワールナントの契約アーティストであるNathalie Béasseのクリエーションの発表がある。 なので、今週は朝から晩までみんなで稽古、稽古。 10人の俳優と7人のミュージシャンと。 7人とも、去年の…

色々捨てる。

色々あるけど、演劇があるから大丈夫だ。と思うことがあった。 事件?と言えばいいのか。 先週の土曜はちょうど演劇なんかやめてやると思った日。 それで、今日は、演劇があるから、稽古があるから、私はまだ大丈夫。ちゃんとしていられる、と思う日。 自分…

たかが演劇

またまた久しぶりの更新になってしまいました。 何もなかったわけではなく、むしろ公演もあったし、3月に向けてのクリエーションも、映画のスタージュも、コンクールもあったので、ちょっと息切れ気味だった。今、ようやっとバカンスだけれど、全然やること…

不思議な一日。

センスがある、とは、自分を超える何か、まったく新しいものに出会ったときに立ち止まれるかどうかだ。 と、大学生時代に講義で聞いた言葉を思い出した。 そういう演劇を見たからだ。 よく分からないまま企画され、ナントにある建築学校の舞台美術科の学生と…

散歩のあとの備忘録

特筆すべきことはないけど、 進まない中で、自分なりに頑張っています。 他人に見えなくても、自分の中では一ミリずつ動いている。 誰に評価されなくとも、自分がわかっていればそれでいい。 誰にも受け入れられないのならば、自分で評価するしかない。 先生…

私は私は私。

学校が始まって、とどまることなく様々なことをやってきたので、新しいクラスになってまだ一か月弱だということを忘れた私たちは、今ようやっとバカンスです。 去年は「こんなもんいらんわい!」と思っていたのですが、今回ばかりは必要だった笑 先週は木曜…

現実を前に、演劇をすることについて。

演出プロジェクトが終わって、一週間以上が経ちました。(詳細は前回ブログへ 俳優であるとは。ある俳優から若者たちへ。 - 踏み台における足踏みの軌跡。) 私は演出と出演を一本ずつ。 難しかった・・・。 何が難しかったかというと、扱ったテーマがとてつ…

受験報告

先週の金曜日に受けてきたストラスブールにある国立演劇学校TNS(詳細→ストラスブールに、憧れの人に、会いに。 - 踏み台における足踏みの軌跡。) 2月3日に第一次審査の結果発表だったのですが、残念ながら落ちてしまいました。 自分でも好感触だったし、…

あける、とは。

新年が明けて、4日から授業が再開した。 バカンス前半は予定があったものの、ほぼ家にこもっていた私は学校でみんなに会えて大喜び。 ビズ(挨拶のキス)も大分慣れてきた、どころか、久しぶりに会った友人たちとの「明けましておめでとう!」とともにするハ…

大女優の死/小女優の憂鬱

日本の映画界黄金期を支えた大女優の一人の原節子さんが亡くなった。 映画ファンの父からメールが届いて、そのことを知る。 勝手な想像だけど、あれほどまでに映画の中で輝き、そしてこんなにも長いこと生きておられたのは、なんともまあ、なんと美しい人生…