雪かきをコツコツするということ。

記録的な豪雪だったそうだ。

 

昨日、日本に帰ってきて、まだしばらくボーっとする時間のある私は、夜に父親と弟が返ってくるまでに家の前を三回ほど雪かきをした。

何度やっても暫くすれば雪は積もるのだが、3回目にもなると、他の雪かきをしていない部分との積もっている雪の厚みは変わってくる。私がせっせと雪かかれた部分は、だいぶ歩きやすい。

 

今朝、起きてみれば、窓からは見事な雪景色がみえた。

やはりまだ時間のある私は雪かきをすることにした。

 

もちろん、私が雪かきした部分にも、その後しっかりと雪は積もっていて、あの努力むなしくといったところか。仕方ないのでまたせっせと雪かきを始める。

仕事に行くのであろう人たちが、雪かきしている私の横を通っていく。いつもは交わされないおはようございますという朝の挨拶が、その場では交わされる。雪効果だろうか。いつもとは違うことが、いつもと違うことを私たちにさせるのだろうか。

 

作業を進めていくうちに、分かったことがある。

昨日私が三回にかけて雪かきをした面は、作業が効率よく運ぶ。コンクリートに接している雪が凍っていないのだ。他の放っておいた部分を雪かきする労力も、地面の綺麗さも段違いだ。

 

そこに、ご近所のお爺さんがゴミ出しに通る。

「綺麗に上手にできていますねえ。」と、私の雪かきを褒めてくれた。

昨日、三回くらいやったところは綺麗にできました、と報告すると

「雪は、一度動かしてしまえば溶けるのは早いですからね。放っておくと、ずっと残っている。」

と教えてくれた。

「それじゃあ、コツコツやらなければいけないんですね。」そう答えると

そう、コツコツが大事です、と言って朗らかな笑顔を讃えて、お爺さんはゴミを出しに行った。

そうか、コツコツか、と思いそのあともせっせと馴れない手つきで雪かきスコップを動かしていった。

 

おかげさまの快晴で午後の間に家の周りの雪は大分溶けていったけれども、私の家の前は、朝からずっと綺麗だった。

 

 

何事もコツコツなのだと思った。

コツコツやると、他の放っておいた部分とは、何かしら違いができてくるらしいのだ。

どうせ太陽が雪を溶かしてくれるから、降った雪はそのうちみんな水になって地下に流れていくのだろうけれど、溶ける速度は圧倒的に速いし、地面は凍ってなくてうつくしいし。

 

私の場合、色々コツコツやってきたけど、ちょっとまだ太陽が出ていないので、これからは太陽を出す作業をしていかねばならないのかな、と思う。あ、これは演劇のハナシです。太陽がなければいくら雪を移動させたところで、溶けないもんね。

雪かきも、生まれて初めてやったもんだから、効率悪かったけど、だんだんやり方がわかってきたし。きっと、まだまだ他のやり方もあるのだろうな。まだ別のコツコツやっていく方法が。これも、演劇のハナシです。

 

コツコツやって、いい俳優になりたい。

ただそれだけが願いです。

いい俳優って一体何でしょうと、思いながら。