2021-01-01から1年間の記事一覧

弱いほうの声をきく

聴かれない声というのはある。 G.Cスピヴァグによって知的に冷静にそして切実に書かれた「サバルタンは語ることができるか」は、21歳に読んだあの時から今まで、かれこれ10年近く私にこの「声」という根本的なテーマを与えつづけてくれた。大学四年生の時に…

最近やめたこと

最近はインターンでとあるクリエイションの演出補佐をしています。 中にいつつも、やはりインターン生なので、外から見ている感じがあり、 ブリュッセルにおけるプロフェッショナルな作品作りはこう行われるのか、と日々日々頭の中で思いを巡らせて舞台を眺…

ヴェネチアビエンナーレ2021→ヴェネチアビエンナーレ2022

物事が重大すぎて何が起こっているか把握できない様、を表す四字熟語はないものかなと先ほどからパソコンを覗いています。そういうことを上手く言おうとしてるけど、なかなか言えない。最近は未熟さばかりを感じます。 何が言いたいかというと、 先日の記事…

ヴェネチアビエンナーレ2021

ヴェネチアビエンナーレに参加するために10日前に現地入りして稽古をする生活をしています。 35歳以下のイタリア人の若手演出家のコンペティション部門に出品する作品に俳優として参加します。 昨日はたった90分の舞台稽古があって、今日17時から審査員の前…

年度末は6月。

欧州では、6月といえば年度末である。 年度末と言えば、卒業シーズンでもある。 日本で育った私にとって、こちらにきて最初の数年は、一年の中での何かの終わりと始まりであった3月4月に何も起こらないこと、それがただの春に過ぎないことに寂しさを感じてい…

「君には覚悟があるのか?」

「せっちゃんが あたしをきらってたの知ってたけど あたしは せっちゃんのこと きらいじゃないわ」 岩館真理子の『まるでシャボン』より 演劇を私が芸術だと見なす理由は、そのポエジー(詩情)にある。 その柔和さにある。 その美しさにある。 ただ、そのよ…

4月よ、君はどこに行っていた

すごい動いた4月の頭。一気にプロジェクトがふたつ。 すごい動かなかった4月の真ん中。鬱々して、本と漫画と映画三昧だった。(雪降ってたし) いま、すごい動いている私の中。 そして、すごい動いて欲しいこれから。 波がある。波があるのがふつうなのよ、…

演じたい。

今週から俳優科の四年生の卒業公演クリエーションが始まった。 私たち演出科の三年生は作品のテクニック面を担当する。私はなんと照明担当。 昨日は稽古スペースの基本的な照明を吊ったりしていました。 まさか自分がこんなこと出来るようになるとは思ってい…

友が逝く。

友人を亡くした。 中高時代の友人だった。 彼女は研究者だったので、お互い勉強を続けている者同士として、高校を卒業後も定期的に連絡を取り合っていた。 苦しい日々を互いに激励しあった数年だった。 そう言ってしまえば美しいが、本当のところは私が彼女…

あけましたが、まだロックダウン。

ベルギーの冬は気が滅入る。 寒くて、雨が降っているか、分厚い雲に空が覆われているかのどちらかで、日光不足になるのだ。だから、毎年何だか鬱々とするな…と思うと、人々はビタミンDを摂取し始める。 かくいう私も、たった今、去年買ったサプリメントの残…