ベルギーのコロナ禍で、生活は日々変わっていくけれど、
そんな中でもCarte blanche(白紙)プロジェクトが始まった。
毎年、第三学年全体と最終学年である第四学年の俳優コースの生徒が一緒になって、生徒主体でゼロからプロジェクトをつくるのだ。
私は演出コースなので、自分の演出プロジェクトをひとつ担当する。
本来ならば他の誰かのプロジェクトでも俳優として演じられたはずなのだけど、今は国からの制限で学校にいられる時間がものすごく限られてしまっているので、
今回は自分の演出プロジェクトだけ。
残念だけど、自分のプロジェクトに集中する時間だと思えばいいかな、と思っている。
夏からインタビューなどして、コツコツ進めてきたプロジェクト。
作品タイトルは「〇」。読み方はまだよく分からない。
先週から稽古を始めたのだけど、今回自分に課した課題が
「今までやったことないことをやる。自分の出来ないことをやる」
なので、手探りで進めていく感じ。
一瞬、「あれ、見失ってる?」という感覚に陥ったけれども
「やったことのないことをやっているのだから、この感覚はむしろ希望の光なのだ!」
とひとりソファーの上で舞い踊る。
演出家として俳優をみていると、つくづく俳優という生き物はすごいなと思う。
こちらが与えた枠組みの中で、いろんなものに通過されて、彼らの内側ではもうすごい感情やらなんやらが渦巻いているようだった。
そういうことが行える場所、守られた場所があるのは、ありがたいことだ。
そういう場所に今いられることにただただ感謝したいなぁと思う。