オランダで俳優として参加している『Superposition』のプレミアが9日にあけた。
この国の演劇業界では、批評文化がかなりしっかり根付いているらしく、時にこき下ろすことも厭わない程らしいが、この作品はかなり高い評価を貰っている。この8週間、みんな本当によくやってきたから、この作品がきちんと届いて嬉しい。
私はオランダに着いてからの2か月、この上なく幸せである。どれくらい幸せかというと、ナントのコンセルヴァトワールにいるとき並みのそれである。あの時期は、毎日毎日泣いていたけれど学びの連続と自分自身の発見の連続で、ふり返ってみれば人生で一番幸せな時期だった。
でも、それを超えて、人生で一番幸せなのは今だと思う。
昨晩、ナント時代のブログを読み返していた。当時の私は色んな思いに翻弄されまくっていて、時にちょっと心配になるような心身の状態が伺いみれたりしたけれど、ああやって必死に藻掻いて探していた姿は、どうやったって馬鹿にできない。
私はあの時なりたかった俳優の姿に、今ある程度近づけている。何よりも、それを自分自身で認められているのが、一番の進歩である。
あの時の私に言いたい。
「真剣なんだけど、魂は差し出すけど、大したことないんだよ」
あとは、
「もっともっと素晴らしいことが待ってるからね」
と。
だから、今も同じことが言えると思う。
「真剣だけど、魂は差し出すけど、大したことないんだよ」
そして
「もっともっと素晴らしいことが待っているから、頑張って生きてみなさい」
と。
悲しいことが沢山あって、世界には今も本人の意志に反して死にゆく人が常にいて、私は同じ地球にいて、それもとびきり安全圏にいる。この矛盾は何だろう。世界全体は崩壊に向かっているのに、何故私はとびきり幸せなんだろう。この全体って何なんだろう。
全部抱えて、それでも「生きてみよう」と思ってしまう。
これはなんなんでしょうか。これは。
自分でありながら、別の存在になれるお芝居に、魅了されて、もう本当に、どうしようもない。これは、なんなんでしょうか。