演劇が楽しい。

あけましておめでとうございます。

ブログを更新しなくなって、大分時間が経ってしまった。

書かない間に、ヴェネチア稽古が始まったり、自分の卒業制作の稽古が始まったり。

 

演劇は、一応長くはやっているけれど、こんなに楽しいと思ったことはないかもしれない。人と一緒に何かをすることの楽しさが、ようやく分かったかもしれない。要するに、自分のいる位置とだいたい同じ場所にいる人とやることが大事なのかもしれない。

それは、人柄も含め、演技のレベル、というと演技の上手い下手があるような言い方だけれど、それだけではなく、演技を何と捉えるかを共有していることも重要だ。

作品を作る上でどれだけ心を揺さぶられたいか。

どれだけ、普段隠していて、無いことにしている自らの大事な内側を出せるか、出したいか、それを見せたい相手と仕事をしているか。

 

本当に、自分一人でやっている訳ではないのだ、と感じつつ、

一方で、自分の信じる道というか軸というか、そういうものにしっかりと立っているからこそ相手を信頼できるのかもしれない、とも思ったりする。私の掴んだ具体的な身体感覚としては、自分の背骨に寄りかかる感じ。だから、立ってるというよりも、寄りかからせて貰っているといった方がしっくりくる。

 

もう所謂演技上手いには本当に興味がなくなってしまった。

私の作品に参加してくれている俳優さんは、INSASを卒業したとても力のあるひとたち。ふたりと稽古をしていると本当に楽しいし、心の底から興奮する。

それは、ふたりがもう既に所謂演技力を一定以上持っているからで、でも何よりも私の心を揺さぶるのは、この先に見えるその演技力を解体する可能性をふたりの内に見出せるから。二人が他の俳優と違うところがあるとすれば、解体される準備が出来ているところだと思う。力はあるけれど、それを包む膜は柔らかく、脆い。そういう人たち。

 

そういう脆弱さって、本当に人の心を揺さぶったりする。

 

お芝居するってすごいこと。

俳優という職業に本当に敬意を払いたい。以前より強くそう思うようになってしまったよ。テクニカル面を支える人たちの謙虚さやその裏を支える静かな熱にも感化されて、何かに巻き込まれて空中を激しく渦巻くような日々を私は過ごしています。