ブリュッセル国立劇場は太っ腹。

ブリュッセルのフランス語圏国立劇場にて、ブラジル人の演出家クリスティーヌ・ジャタイ(Christiane Jatahy)の「イタケー(私たちのオデュッセエイア1」(ITAQUE(Notre Odyssée1))を、木金土と続けて観劇した。

同じ芝居を三回続けて観たのは初めてのことだった。

 

理由はいくつかあって、一つは学校の舞台美術の課題で1月に提出するレポートのためで、二つめは、ひどく感動したからだというものだ。

 

ブラジル出身の女優三人とフランス出身の男優三人を起用して、ホメロスのオデュッセイを元に即興稽古からできたというこの作品。

演技面は勿論、素晴らしいセンス、知性の深さ、そこから生まれる見た目の美しさに思わず圧倒されてしまった。

あまりに沢山のことが起り続ける舞台上に、毎回驚かされてしまった。

 

実は三回のうち、一度は自分でお金を払ってみたけれども、二回は劇場側に頼んで招待してもらったのだ。学校の課題で何回も観たい、と言えばじゃあいいしょう、と招待してくれるなんて随分太っ腹だなあ、と思う。

 

ついでにバラシを見学してもいいですか、と頼んだら、快く受け入れてくれた。

しかも、舞台監督が本人の劇場入りは9時だというのに、わざわざ8時から説明をしよう、と提案してくれたのだ。こうやって若い世代を育ててくれているのだろうか。

 

早稲田のときから夢の時間を解体していくバラシの時間は大好きだった。この解体作業、私は夢を作っていく作業と同じくらい夢に溢れているなあ、と思うのだ。

非常に複雑な劇場空間を作り出していた作品にも拘わらず、本当に快く受け入れてくれた劇場側には大感謝である。

 

がっかりすることが大半だけど、こんなに素晴らしい作品やそれを取りまく人に出会うと胸のときめきは押さえずにいられない。

 

年配の俳優さんが、舞台上で三回とも毎回心を揺さぶられている姿をみると、ずっとこの仕事を続けたいとまっすぐに思う。

 

 

とりあえず、頼んでみると意外にも受け入れてくれる場合もあるので、どんどん扉をたたいていこうと決意する11月のそろそろ終わり。今日の朝は1度でしたので、さて冬はどうなることやら。

 

 

写真は、舞台の写真を載せていいかどうか分からないので、ベルギー王宮前に広がる広場からの眺め。ようやく、生活も落ち着いてきて、街の風景がきちんと見えるようになってきたところ。

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