学校の契約アーティストのNathalie Béasseと二度目のスタージュが開始した。
最近の授業がポール・クローデルと言葉の海。海。海、だったので、みんなでこの動きまくるスタージュに大喜び。
舞台上で動くのが大好きな私にとっては、最高の二週間。
のはずなのだけど、前回に引き続き、また大泣きしてしまった今日。
原因はあるエクササイズ。
やる人はみんな一列になって前を向いて、声だけでひとつの物語を作っていくというインプロビゼーション。
前回もやったけど、今度はフランス語力もアップしたし、大丈夫だろうと思っていた。
けれども、やっぱり人の動きが完璧に見られない中だけで、耳だけでストーリーを追うのは、今の私には余りにも余りにも難しすぎる。
知らない言葉も沢山飛び交う。
完璧に固まってしまって、全く入れなかった。全く。全く。
手のひらを爪で押さえつけて、心だけでなくて体まで痛くなる。
終わって、固まり切っている私に対して演出家が大丈夫か、と聞いてくる。
我慢しようと思っていた涙がどばーと流れてくる。
ごめんなさい、と言っているのに、口調はひどく暴力的になる。
できない。今の私のフランス語力ではできない。
自分では、フランス語がしゃべれる、と思っているのに、やっぱりこういうことになると出来ない。やっぱり私は話せていないんだ。理解することすらできない。その現実に突きつけられて、ものすごい惨めだ。
スタージュでの他のストレスも相まって、過呼吸状態で泣き始めてしまった。息が乱れ乱れ、友人が廊下に連れ出してくれて呼吸を整えようとうずくまるも、その時、ちょうどスタージュを覗きに来ていた普段の授業を受け持っている先生が「このままじゃだめだから、私と一緒に話そう」と、私をひょいと立ち上がらせ、外に連れ出す。
肩をしっかり支えてくれて、ぴったりと寄り添いながら話してくれた。
インプロは、とても難しいこと。
すごい難しいの。私もすごい苦手!他の人がやってるの見て、面白いと思った?面白くなかったでしょう。
フランス人も間違えまくりなフランス語。
動詞の活用とかみんな間違えまくりだし、最後まで言葉を言いきれなかったり。フランス人でもよ!
なんでそんなに自分を追いつめるの?という質問に対して、フランスに来たのは自分を厳しい状況に置くためだから、と答えると、「オーケー。でも、もうその目的は十分に達成されてるよね。辛いね。」という返答。ヒックヒックしてたのに、突如大笑い。
ああ、確かに、すでに滅茶苦茶辛い。事実、息ができないってすごい辛い笑
自分を苦しめるのはやめないさい。何の為にもならないから。
全部完璧にはできないことを受け入れなさい。
もっと、自分の出来る部分を見つめなさい。それを伸ばしなさい。
あなたの存在、あなたの行動の仕方、あなたのフランス語は私たちに多くを教えてくれていることを、認めなさい。
全部、全部、自分が苦手なことばかりだ。
受け入れること。
自分の弱さも、強さも。
でも、またここでも演劇という言葉が出てきてしまうけれども、
自分を受け入れることが出来なかったら、他者を演じるのが大前提の演劇において、何にも出来ないよなあ。
私は自分を認められませんっていうのは、私は演劇できません、っていうことになりかねないなあ。
それは、嫌だ。
何だかよく分からないけれど、依存ではなく、演劇がないとダメだ、と思う。
最早、演劇とは何かはよく分からなくなってきているけれども、そのよく分からないものが、私がいま生きていくのに本当に不可欠なんだ、と思い始めてきた。
日本が恋しくても、
家族が恋しくても、
恋人に会いたくても、
日本語で思う存分に話したくても、
母の食事が食べたくても、
それらの気持ちを我慢してでも、時には切り捨ててでも
全ては、演劇をやりたい一心でここまでやってきたのだ。
順序が前後するかもしれないけれども、
自分が勇気あることを認めて、演劇をしよう。
演劇をするためにも、自分を受け入れよう。
と、思った。
思い始めたから、この気持ちもまだまだトレーニングしていかなければいけないけど、そう思った。
早速、そのためのトレーニングとして、先生が一日一個、自分がよく出来たことをノートに書いていくこと、と課題をくれました笑
さあ、出来るかな!