昨日の早朝にフランスに戻ってきた。
あまりに長いパスポートコントロールのせいで、予約していた電車に乗り遅れる。
でも、なんだか
けろりん
としていた。
一年前の私だったら、鉄道会社の人に対して、怒りで攻撃的になっていただろうに。
「まあ、仕方ないか。(お金は無駄にかかるけど)」といったところで収まった。
今年の夏に出会った太極拳のおかげだと思う。
整体師さんに太極拳を「これならフランスでも続けられるから」と勧めてもらい、少しでも早く始めようと思って、近所の太極拳教室へ。
あまりの先生の動きの美しさに、時間が止まった。
土曜日の朝に、公園で、空気と一緒になって動くと、時空が歪む。
まるで、植物が人間の目では捉えられない僅かな動きを、一緒になってみているような感覚。
気軽に始めてみるものに、意外に自分の求めているものがあったりする。
おっかしかったのが、そこでも「背中の緊張があるね」と指摘されたこと。
先生によると、それは「気」が胸の方にのぼっているためらしい。
そうすると「あれやらなきゃーこれやらなきゃー!」という前のめりの気持ちになって背中も板みたいに緊張して前傾姿勢になる。
それではどうするか?
その「気」をお腹の方にストンと落とす。
「それって、生き方を変える必要があるってことですか?」
と先生に訊くと
「そうーーーー!!!」
とキラキラした答えが。(先生がすごい美人で、キラキラして聞こえた)
力を抜いて、「まっ、何とかなるさ」とね、生きてくのですって。
具体的には、一度肩をぐーっと上に持ち上げて、ストンと脱力する。
胸にあった「気」が、肩と同時にお腹の方に、ストンと落ちる。
そのときの姿勢が美しい。
きっと、今まで手を変え品を変え、様々な言い方でそのことを私に伝えようとした人たちがいるはずなんだけど、ここにきてようやく、それこそ、ストン、と納得する。
そんなこともあって、今年の目標は
「何とかなるさ」精神をもつこと。
何とかなるさ、と事あるごとに心の中で呟いてみる。
三年目にして、何が怖いのか、何が心配なのか、もはや謎だけど、
道を歩けばドキドキして、マルシェに行けば声が小さくなる。
気付けば、嫌なものを出すかのように、落ち着かせるように、深呼吸をしている。
もう三年目なのにって思うけど、でもドキドキするから仕方ない。
ふと、「受け入れるってこういうことかも」と思う。
三年目だけど、ビビっている私を受け入れる。受け入れて、ふーっと吐き出す。
勇気のない私はフランスくんだりまで来て、怯えている。
情けないけど、これが私なのだ、と受け入れることができるようになってきた・・・気がする。
今年は何回泣くんだろう。
まあ、いっか。